「第67回全日本大学バスケットボール選手権大会」
5-8位決定戦vs国士舘大
◆試合結果
○明治大学 70(8-17,30-11,15-23,9-11,8-5)67 国士舘大学●
◆レポート
スタート
明治大…#5曾田・#32吉川・#55吉本・#22宮本・#28今川
国士舘大…#15下・#68藤井・#22原・#32臼井・#66馬
リーグ戦では2戦2勝と明治大に軍配があがった組合せ。その国士舘大は、入替戦では2部1位・日本大に負け2部降格となったものの、インカレでは何か吹っ切れたように彼ららしいバスケを展開。見事ベスト8入りを果たした。3度目となるこの試合は、延長戦までもつれ込み、最後は4年生同士の気持ちのぶつかり合いの末に勝負が決まった。
◆前半
明治大は、足の不調からエース・#50伊澤実孝(4年)を温存。代わりに1年生・#28今川友哲がスタート起用された。攻撃の起点となる#50伊澤の不在に、なかなか攻めのリズムを作れない明治大は、序盤シュートが決まらず苦しい展開に。対する国士舘大もリードしているものの、フリースローを落とすなどどこか自分たちのペースを掴めないでいる。その後もディフェンスから攻めリズムを掴みたいところだが、ファウルに苦しめられ思うようにいかず、自分たちのバスケができないまま、8-17と国士舘大リードで1Qを終えた。
ここで奮起したのは同期のエース不在の穴を埋めるべく、「それが自分の役目(#55吉本健人・4年)」という言葉通りに2Q開始早々に#55吉本健人(4年)が3Pを決め、反撃ののろしをあげる。
すぐさま、国士舘大が3Pを決め返すもここから4分間ノーゴール。その間、明治大はディフェンスから立て直し、#2齋藤拓実(2年)が速攻、アシスト、3Pと活躍を見せ、一気に23-20と逆転。そして、もう1人の4年生・#20秋葉真司(4年)がテイクチャージで盛り上げると強気のドライブを決め、25-20と突き放しにかかる。国士舘大の4年生も負けてはいない。エース・#22原が倒れながらも3Pを決めるが、さらに明治大・#55吉本も決め返し、どちらも譲らない展開へ。
3年生も奮闘を見せ、#5會田圭佑(3年)はゲームメイクだけでなく、手薄になったリバウンドにも積極的に飛び込び、さらには3Pも決めると、このQ3本目となる3Pを#55吉本が決めると36-26。残り43秒で国士舘大タイムアウト。
すぐさま#32臼井のポストプレーからの得点を許すものの、#2齋藤がしっかりとジャンプシュートを決め、28-28で後半へ。
(写真:2Q3本目となる3Pを#55吉本健人(4年)が決め、36-26と10点差になると国士舘大タイムアウトの場面。前半の苦しい時間帯、もう1人のエースがチームを支えた)
◆後半
開始早々、#22原がドライブをねじ込むと息を吹き返した国士舘大にじわじわと追い上げられ、残り3分26秒#15下の3Pが決まると46-46となり勝負は振り出しへ。この苦しい時間帯で#20秋葉がジャンプシュートをねじ込むと、途中交代で入った#24森山修斗(1年)が#2齋藤からのアシストをしっかりと決めるなどなんとか対抗。国士舘大・#37阿部の3Pなどで得点を許すものの、53-51で4Qへ。
リバウンドが中々取られず、再三国士舘大にオフェンスリバウンドを取られるものの、#2齋藤と#22宮本滉希(2年)の合わせが決まり、さらには#2齋藤が司令塔として頼もしいドライブからフリースローを獲得するなどでチームを支える。
そして、ここからは4年生同士の戦いとなった。
再三、#55吉本にボールを集め、3Pを狙うも決めることが出来ず。24秒やミスなどから相手のチャンスを与え、残り3分で#22原のシュートで56-57ととうとう国士舘大が逆転。しかし、#20秋葉が3Pを決め、再びをリードを奪う。しかし、エンドスローインを国士舘大にスティールされ速攻を許すと59-59。
先手を取ったのは明治大。国士舘大のシュートが落ち、#55吉本がしっかりとリバウンドを掴むと、そこからボールは#20秋葉の元へ。残り18.7秒で3Pを決め、62-59。守り切れば勝利だが、国士舘大もエース・#22原にボールを集め、1本目の3Pは外すが、オフェンスリバウンドから生まれたセカンドチャンスで残り1.9秒。この土壇場で3Pを決め、62-62で勝負の行方は延長戦へ。
(写真:終盤は両チームの4年生の意地のぶつかり合いでだった。お互い関東1部リーグを代表するシューターでもある#55吉本と国士舘大・#22原のマッチアップは終始見ごたえのある戦いを繰り広げた)
◆延長
ゾーンDFの国士舘大に対し、ボールを回す明治大。#2齋藤からのパスを#20秋葉がレイアップでねじ込み、さらには#2齋藤スティールから#55吉本が相手のブロックを冷静にかわして、ジャンプシュートを決め、66-62と明治大が先行する。
さらには#32吉川もやっとスクープショットを決め、68-62とリードする。しかし、国士舘大も諦めない。#15下の速攻が決まり、68-64。シュートを狙うもお互い決められなかったが、再び見せてくれたのは両チームの4年生。明治大・#20秋葉がドライブをねじ込み、チームを救うと、国士舘大・#22原もチームの逆転に向け3Pを沈め、70-67と3P1本差。フリースローを得た#22宮本が2本とも落としてしまうものの、国士舘大の攻めを守りきり、試合終了。70-67で明治大は2年連続で5-6位決定戦に駒を進めた。
(写真:4年生の不在は、4年生がしっかりと埋めた。#20秋葉が19得点、8リバウンドとともにチームトップの成績をあげ、勝利を掴み取る活躍を見せてくれた)
~大黒柱不在の試合をチーム一丸となり、勝利を掴んだ~
ここまでプレーでチームを牽引してきたエース・#50伊澤実孝(4年)を足の不調により、温存。他のチームを見ても、エース級の4年生には負担がかかり、怪我が多かった今季。それだけ負担は大きかったのだろう。
大黒柱不在の出だしは「最初みんな戸惑いというか、慣れていなかったので、そこで最初つまづいたというかリズムを掴めなかった(#55吉本健人・4年)」と出だしに出遅れるも、「どうしたというわけではないですが、徐々に攻めなきゃいけないという意識が出てきて、まずはディフェンスをリーグ戦と同じように簡単なことをしっかりやっていたら、リズムが出てきて、アウトサイドが決まりました。(伊澤が)いない中で、ここまで点が取れたのは良かったと思います。(#55吉本)」と試合中にメンバーで切り替え、修正することが出来た。
インサイドを任された#22宮本滉希(2年)や代理でスタート起用になった#28今川友哲(1年)の下級生たちにとっては、色々と思うきっかけにぜひしてほしい。
「今日、伊澤さんがいなくて思ったのが、俺がファールしちゃったら森山と今川だけになっちゃうんだなと思って。今川も最近良くなってきていますが、まだ試合に影響あるターンオーバーとかあるので、無駄なファールは減らしていかないと思います。(#22宮本)」
「緊張しました。(インカレの試合に出て)もっと練習しないといけないと思いました。ゴール下でフリーでボールをもらったとしてもカバーディフェンスにビビッてシュートを打たなかったりとか、最後ボールを持ったら焦ってミスってしまったり。そのあたりをもっと練習しないといけないと思ったし、ディフェンスもフィジカルが足りないのでもっと身体を使ってやれるようにしていきたいです。試合に出て、流れでやっている時は感覚でやれますが、いざボールをもらって攻めるとなった時に焦ってしまって。気持ちの面ももっと自信をつけないと。練習の時と試合は全然感覚が違いました。(#28今川)」
(写真:もう1人のエースとして、これまでの試合以上にシュートを打ち続けた#55吉本健人。常に相手のエース級のマッチアップを任されながら、チーム唯一のシューターとして攻守どちらも重責を担ってきた今季。最終戦はぜひ気持ちよくシュートを決めてきてほしい)
~後輩たちに身をもって伝えてくれた 4年間苦しんできたからこそのプレーを見せてくれた
4年生エースの不在は4年生たちが埋めた。前半の苦しい場面で#55吉本の3Pはチームに力を与え、そして後半は、苦しい時間帯で3Pやドライブをねじ込んだ#20秋葉真司(4年)が勝利を呼び寄せた。
春先はスタート起用でチャンスをもらうものの、それまでほぼベースチームで過ごしていただけに実力が伴わず、自分の役割とそれをどうプレーで見せるのかに終始悩んできたのが今シーズンだった。泥臭いリバウンドやルーズへの意識は元々持っているものだが、やはり得点は必要。少しでも伸ばせるようにシューティングを続けてきた。前日の青学大で#88黒崎海斗(4年)が苦しい場面で3Pを決めたように、4年生のここまでの頑張りが19得点、8リバウンドという勝利に貢献する活躍につながったのだろう。
「伊澤がここまでエースとしてチームを引っ張ってくれていて、(今日の試合に出られなかったので)そこは自分や吉本、ベンチの4年生含めて背負わないといけなかった部分だと思っていました。でも、自分の仕事は変わらずやらなければいけなかったですし、得点というのは春先から自分自身最後まで諦めずにずっとシューティングやってきたので、やっと実になったのかなと思います。泥臭いことをやっていたら、ちゃんと得点もついてくるんだよ、とベンチや応援席にいる後輩たちには見てもらいたかったです。(#20秋葉)」
「今日は本当に助けられました。秋葉も4年間本当に苦しんできたから、やっとああやってチームを助けてくれて、ありがたかったです。(#55吉本)」
4年生たちがまさにこれぞインカレ!と思えるような活躍を見せる中、後輩たちとともに戦う学生バスケは、残すところあと1試合となった。とにかく、これまでシーズン通して作り上げてきた自分達のバスケを、「いつも通り」のバスケを自分達のためにしてきてほしい。きっとそれを応援している人たちは見たいのだと思う。
最後は勝利し、自分達で去年の6位よりも上の順位を掴み取れるのか。ぜひ彼らを見届けたいと思う。
「これで満足しないで、明治のバスケの応援していてくれる方がたくさんいるので、その人たちにどう感謝を伝えるのか、というと、やっぱり明治のバスケを見せることだし、自分達が受け継いだこの「明治大バスケ部」を後輩たちに引き継ぐ、という意味でも最終試合は大事だと思います。やったら、またその上のステップアップがあって、成長につながっていくと思います。それが、勝利につながるし、自分も最後まで自分の役割をやりきってもっともっと今日以上の活躍をしたいと思います。(#20秋葉)」
「最終試合ですが、やることはブレずにリーグ戦からやってきたことをまずは頭の中で整理してその中で自分として最後悔いのないように。想いを乗せてって言ったら少しくさいですけど(笑)シュートを打って、ディフェンスはアグレッシブにやって、チームみんなで協力して勝ちたいです。(#55吉本)」
(写真:延長戦、最初の得点となるレイアップを決めた#20秋葉。4年生たちの奮闘により、リーグ戦では競り負けていた延長戦での戦いをやっと掴むことができた)

4Q残り18.7秒、59-59の苦しい時間帯に4年生が気持ちを見せる。明治大・#55吉本がディフェンスリバウンドを取り、そのつないだボールで#20秋葉が3Pを決め、62-59と明治大リード。
オフェンスリバウンドを必死で取った国士舘大は再び#22原に託し、見事その想いに応え、62-62の同点。試合は延長戦へ。
4年生の戦いはまだまだ続く。明治大は#2齋藤が作り出したチャンスを、#20秋葉がレイアップをねじ込み、そして速攻を落ち着いて#55吉本が決めるなど68-62と先行。だが、#22国士舘大・#22原が再び3Pをねじ込み、70-67。
残り時間はわずか。#2齋藤がしっかりとゲームをコントロールし、
最後は逃げ切った。70-67で試合終了のブザーがなり、#20秋葉に駆け寄る#55吉本。終始苦しかった時間帯を4年生2人でつないでしのいだのはさすがでした!
お互いを称えながらも、ともに戦った2年生3人とも勝利を喜ぶ場面
激闘をベンチで見守ったエースと主将。彼ら2人がここまでチームを支え、辿り付いたことには間違いない
出場時間帯があまりもらえず、悔しい想いをしているはずだが、それでもベンチで盛り上げ続けていた2人の3年生・#9田中井、#26小谷。同じ交代メンバー陣としてチームを支えた#20秋葉を出迎えていた場面が最後印象的だった
Written by 細田季里
試合速報 身江
Photo 細田季里